TSUKUYOMI / 2026.09.06 の途中経過

白紙のかわりに、
30個の箱をならべた

データはもう手元にあるのに、白い画面のまま時間だけが過ぎる。英語そのものより先に、何をどの順番で書くかで止まっていることが多い。少なくとも、わたしはそうでした。

英語の論文を書くための道具を作っています。まだ売り物ではありません。下のほうに、まだできていないことも3つ載せています。

下に、7つのひかるポイント

30個の箱

考え方はひとつです。書く前に、順番を決めてしまう。

論文には、実はお決まりの形があります。ふつうは25〜30個の段落でできていて、しかもそれぞれの段落に「ここは何を書く場所か」という役目が決まっている。だから最初から、名前つきの箱を30個ならべておきました。

Tsukuyomi の標準テンプレートPA-01 → PA-30

箱にさわると、その役目が出ます

PA-01 / イントロ Introduction
既知の問題を置く
Problem — what is known?
この分野で何が分かっているかを、読者の共通の前提として書く
イントロ Introduction 4 方法 Materials and Methods 9 結果 Results 7 議論 Discussion 10

この4つの並びを IMRaD と呼びます。世界中の論文がこの順で書かれていて、 Tsukuyomi の30個の箱も、この4つに割り振られています。

ひかるポイント

01白紙から始めなくてよくなった

アプリを開くと、もう30個の箱がならんでいます。箱には「ここには何を書く場所か」という名前が付いています。書き出しの作業が、「どう始めよう」から「この箱を埋めよう」に変わりました。

たとえるとまっさらな原稿用紙ではなく、部屋の名前が書き込まれた間取り図から始める。
30個の内訳を見る

新規原稿の既定テンプレートが PA-01〜PA-30 の30段落構成になりました。内訳は Introduction 4 / Methods 9 / Results 7 / Discussion 10。各段落は英語の役割名、日本語の役割名、記入ガイドを最初から持っています。

実際の操作。原稿名を入れて作成すると、30個の空欄が並びます
02日本語のメモを書くと、英語の下書きが返ってくる

ひとつの箱に「ここで言いたいこと」を日本語で書きます。すると、その箱のぶんだけ英語の下書きが返ってきます。全部いっぺんにではなく、1つずつです。日本語のメモが空っぽの箱には、AIは何も書きません。

たとえると翻訳を頼むのではなく、要点のメモを渡して下書きを書いてもらう。
日本語のメモが空のとき、どうなるか

日本語メモが未記入だと生成は走らず、400 を返します。メモがあれば、固定された役割名、同じセクションの他段落のトピック文、紐づけた文献の要約をまとめて渡し、トピック文1文とサポート文2〜5文の構造化データが返ります。

実際の操作。空欄に日本語のメモを打ち、そのまま執筆画面へ。英文のトピック文とサポート文が返ってきます
03まねしたい論文から、順番だけを写せる

お手本にしたい論文を1本わたすと、その論文の答えではなく「どの段落が何をする場所だったか」の一覧だけが返ってきます。料理でいえば、味つけではなく作る順番だけを写しとる感じです。

たとえると建物の外観写真ではなく、設計図の部屋割りだけを写す。
まねるのは、どこまでなら大丈夫か

PDF は最大5本、または400字以上の本文の貼り付けを受け付けます。返すだけで保存はせず、採用するかどうかは人が決めます。元論文の結論や本文はコピーされません。

新しい原稿をつくる画面。ここにPDFを置くと、型だけを取り出します
04AIが引用できるのは、自分の棚にある論文だけ

AIは、ときどき存在しない論文の名前を書いてしまいます。この道具では、AIが「この論文にこう書いてある」と付けられるのは、自分が棚に入れた論文だけ。棚にないものを付けようとしても、途中で消されます。

たとえると引用してよいのは自分の本棚にある本だけ、という図書室のルール。
棚にない論文をAIが持ち出したら、どうなるか

AIが引用IDを持ち込む3つの経路(生成・添削・提案)すべてで、サーバー側が範囲外のIDを機械的に落とします。閉じているのは引用先の範囲であって、書かれた文の内容が正しいかどうかではありません。そこは人が確かめます。

実際の操作。段落に文献を紐づけているところ(文献の中身はぼかしています)

使えるようになったら、公式LINEで知らせます。公式LINEを開く

05箱の名前は、共通の65個から選ぶ

箱の名前を自由に手書きすると、自分にしか分からない名前になってしまいます。だから名前は、あらかじめ用意した65個の共通の名前から選ぶようにしました。だから、よその論文から写した型を、そのまま自分の論文に使えます。

たとえると部品に「あの棚の3番目のネジ」ではなく規格名を付ける。だから別の機械にも使い回せる。
65個は、どこから数えたのか

臨床研究向け30件と、基礎生命科学向け35件の計65件。後者は Nature / Science / Cell / eLife / EMBO J / PNAS の原著9本・183段落と、オープンアクセス96本の Methods を実測して作りました。手法名・機器名・遺伝子名は役割の名前から外し、別の欄に分けています。

実際の操作。「反論」で検索して、役割を一覧から選んで足しているところ
06書く画面も、1つの箱の中だけ

執筆の画面は、いつでも1つの箱ぶんだけを開きます。左に箱の一覧、まん中にその箱、右にAIの添削。役割が上に出たままなので、何を書く場所だったかを忘れません。

たとえると本を1ページずつ開く。どのページを書いているかが、いつも見えている。
1つの箱の中で、何を書くのか

トピックセンテンス1文と、それを支えるサポート文に分けて書きます。サポート文にはそれぞれ引用を紐づけられます。右のAIは添削と提案で、勝手に書き換えることはしません。

執筆画面。左が箱の一覧、まん中がいま書いている箱、右がAIの添削です
07「なぜ30個なのか」の弱点まで、アプリの中に書いてある

30という数字の元になった研究が、アプリの中で読めます。しかも「この研究のここが弱い」という都合の悪い話まで、5つならべて書いてあります。信じるかどうかを、自分で決められるようにするためです。

たとえると商品の箱に、効能だけでなく「この条件では効きません」まで印刷してある。
30という数の、弱いところ

土台にした文献は de Araújo 2014(循環器2誌の原著54本)。注意点として「25-30段落は観測値ではなく原典の提案値」「実際に25-30に収まったのは標本の約3分の1」「30は語数上限からの逆算」などを併記しています。

実際の操作。「根拠」タブを開いて、都合の悪い注意点を読んでいるところ

だれが、何をするのか

YOU
何を言うかを決める
日本語のメモでいい。うまい文である必要はありません。
AI
提案の形で返す
どう言うかを英語にします。添削と提案として返るので、置き換えるかどうかは書き手が決めます。

構造を先に全部決めてしまえば、AIは自由に書くのではなく、枠を埋めるだけになります。だから出てくる文章がぶれません。

まだできていないこと

人に触ってもらう前に直すつもりのものが、3つ残っています ・まだ自分だけで使っている段階で、アカウントごとにデータを分ける仕組みが入っていません。人に触ってもらうのは、ここが済んでからです。
・お手本論文からの型抽出は、1回あたり2〜3分かかります。
・分野別のテンプレートは、箱の名前が説明文のように長いままです。

直ったら、公式LINEで書きます。

できていないことのほうが、まだ多い段階です。それでも続きを見たい方だけ、下から。

使えるようになったら、知りたい方へ

まだ製品ではありません。人に触ってもらえる状態になったら、公式LINEでお知らせします。

届くのは、今日のこの1枚と同じような、開発の途中経過です。